2011/12/25 ●現存する王朝国家を知る
半年ぶりのエントリです。金正日が死んで次は金正恩とのことですが(敬称(笑)略)
かの国では最高権力者の称号は主席でも総統でも書記長でもなく将軍さま。
軍のトップがいちばんエライということなんでしょう。
金日成は首相でしたからまだ民主主義(?)の名残りはありましたが、
金正日になってから民主主義人民共和国の形もなくなって王朝になったということなんでしょうか?
まあ、国名に民主主義~とつく国には民主主義がないというのは皮肉なものです。
自称「地上の楽園」がどんな実情なのか、
今ではかなり知られているところですがほんの10年前までは知ることが困難でした。
北朝鮮ならずソ連、中国、韓国の実情は
かなりいろんなフィルターがかけられていたように思います。
でも北朝鮮、韓国に興味を持つ人は少なかったのは
日本にとってどうでもいい国だったからでしょう。
今でも北朝鮮は謎の国。ご興味がおありの方にお薦めの書籍をご紹介します。
凍土の共和国―北朝鮮幻滅紀行 金 元祚 亜紀書房 (1984)
元朝鮮総連幹部が“活動家家族”の一員として“帰国同胞”を訪ねてみたら、
そこには思いもよらない硬直した社会が展開されていた。・・・
日本海の向こう側にはかくも恐ろしい世界があるのかと当時背筋が寒くなった一冊です。
どん底の共和国―北朝鮮不作の構造 李 佑泓 亜紀書房 (1989)
祖国の農業発展に寄与すべく、一年半にわたって尽力した同胞農業技術者が、
あまりにも悲惨な現状に絶望・・・
主体農法と呼ばれる稲の密植、トウモロコシ栽培・・・、繰り返される水害&飢餓の原因が明かされます。
闇からの谺―北朝鮮の内幕〈上・下〉文藝春秋 (1989)
北朝鮮へ不法に拉致された韓国の女優と映画監督の恐るべき報告。
北朝鮮の、特に金正日のことが生生しく伝えられ、大反響を呼んだ。
金正日に香港から拉致された韓国人映画監督の拉致から脱出の実話。
目的のためには手段を選ばない金正日の実態はここでも明らかにされてます。
ソウルと平壌 萩原 遼 大月書店 (1989)
1972年5月、一人の若い「赤旗」記者が希望を胸に平壌に赴任した。
しかし、彼がそこで見たのは「宣伝」とは全く違う「笑いのない社会」であった。
大韓航空機爆破事件の北朝鮮当局の嘘を左翼の視点から明らかにした筆者。
金賢姫の幼いころの写真はちょっと衝撃的でした。
お笑い北朝鮮―金日成・金正日親子長期政権の解明 伊藤 輝夫(テリー伊藤) コスモの本 (1993)
日本テレビ界の奇才・現『浅草橋ヤング洋品店』演出家・テリー伊藤は"北朝鮮おたく"だった。最も影響を受けた演出家は金正日書記であるという著者の解明する北朝鮮長期政権の秘密。
金ぴかの金日成像、悪趣味な国際親善展覧館、写真満載で当時は笑わせてくれましたが、今になっては笑えないかの国の実態です。
ゴジラが見た北朝鮮 薩摩剣八郎 ネスコ; 〔新装版〕版 (1994)
はるばる北朝鮮へ出かけ、怪獣映画に出演した男がいた。
それがこの本の著者、薩摩剣八郎。宿舎は金正日の別荘。
ゴジラ役の筆者が怪獣プルサガリになって金王朝を倒す。だったらよかったのに。。
映画の監督は上記の拉致された申相玉。
以上はちょと古めの本ばかりです。
どれか読まれるとすんなりと入ってくると思いますが
これらの本が出た当時はほとんど無視されていたのが実態でした。
拉致問題が明らかになり、小泉訪朝で金正日が拉致を認めてから
世論の風向きが変わりました。
北朝鮮美化は見られなくなり
北朝鮮脅威論が中心となりました。
北朝鮮礼拝の政治家、労働組合、大学教授は大人しくなり
かなり北朝鮮の実態が明らかになってきましたね。
そんな中、比較的最近の本↓
将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情 国分 隼人 新潮社 (2007)
世界初(?)北朝鮮鉄道詳細地図、時刻表、車両リストを掲載。謎の国の謎の鉄道、
その全貌が明らかに!SLから地下鉄まで、スクープ映像DVD付。
どこへ行くにも鉄道で・・鉄道大好き金正日の北朝鮮鉄道事情。電化率ほぼ100%の理由。移動が制限されている北朝鮮で人民が鉄道に乗るには??など興味深い実態が明らかになってます。
以上、ちょっと読んでもらえれば北朝鮮関連のニュースが楽しく(?)なる
というか恐ろしくなることこと請け合いです。
くれぐれも日本の常識・感覚でかの国を見ないように・・・
人民のデモはおろか世襲以外にトップの交代が起こらない国なんですからね。
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