2010/12/05 ●反撃するも雷鳴だけ?
尖閣での中国、朝鮮半島の砲撃で一気に緊迫してきましたが、軍事ネタをひとつ。
北朝鮮の砲撃に対して反撃(?)を加えた韓国海兵隊の自走砲をご紹介。
K9 155mm自走榴弾砲(Thunder/サンダー「雷鳴」)
↑中央日報より
主砲 52口径155mm榴弾砲×1
最大射程 50Km以上(通常榴弾なら30~40Km)
価格 1輌 2億7,800万円
まず自走砲の定義は
大砲を自走可能な車体に射撃可能な状態で搭載したもの。
つまり動く大砲です。
自走砲は戦車によく似てますが、
戦車は移動しながら移動する目標を攻撃することが目的であるのに対し、
自走砲は後方の陣地から比較的遠距離の目標に対し砲弾を打ち込むことが目的です。
なぜ動くことが必要かというとレーダーが発達した現代では
砲撃した瞬間から敵に砲撃地点がある程度わかってしまうので、
反撃をうけないために迅速に移動する必要があるからです。
どーん!どーん!どーん!と撃って移動。撃って移動。これが基本ですね。
今回の例でいうと、北朝鮮は海岸の洞窟に隠した海岸要塞砲(動かない)と
移動式の多連装ロケット砲で仕掛けてきて、韓国軍は自慢の自走砲で対抗という図式です。
お互いに無誘導兵器なのでウチっぱなしで目標に必ず当たるわけではありませんが、
落ちれば、運動エネルギーと炸薬の威力で
「(K-9砲弾が落ちれば)周囲50メートルが焦土化する」
(韓国高官の話=オーバーだと思いますが)それなりの威力を発揮します。
韓国軍の反撃の流れは
①北朝鮮が砲撃
↓
②韓国軍は対砲兵レーダーにて弾道をとらえて発射地点を解析
↓
③発射地点を目標に自走砲で反撃
↓
④着弾地点を観測し誤差修正
↓
⑤再砲撃
↓
⑥相手陣地近くに着弾すれば相手の攻撃を沈黙させられます。
しかし、実際は
反撃のために打ち込んだ砲弾の80発中命中判定は3発
着弾した砲弾は畑に穴を開けたのが多いらしいですね。
韓国軍"名品武器"K-9、80発中わずか3発命中
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=135451&servcode=200§code=200
対応射撃弾着地点の衛星写真を公開...北朝鮮軍施設を打撃できず
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=135446&servcode=200§code=200
北朝鮮軍にとっては
「あたらなければどうということはない」
状態です。
確実に沈黙させるには誘導兵器を使った空爆が必要かと。
周到に準備してきた北朝鮮軍の砲撃に対し、
自走砲だけでは効果がないとは思ってましたがこれではね。。
兵器の性能以外でも
最初は6輌中3輌が故障で作動せず3輌で反撃、
その約30分後に1輌の応急修理を終え、後は4輌で応射したというから・・
勇ましいことを言っていた国防大臣が交代するのも当然でしょう。
ちゃんと反撃してたら被害は少なくなっていたはずですから。。
「K-9で攻撃すれば敵陣地が焦土化すると言っていたが...」
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=135467&servcode=200§code=200
ところで韓国は電化製品や車だけでなく武器輸出にも熱心で
このK9自走砲も名品として輸出しています。
トルコにライセンス輸出しスペイン、マレーシア、サウジアラビア、チリ、エジプトと
交渉したが成立せず、最近ではオーストラリアと交渉しているようです。
他にも、練習機、戦車、ミサイル、艦艇など輸出交渉を進めていますが
ハイテクものはなかなか難しいようで、うまくいっていないようですね。
<大韓民国の国防力>もうひとつの名品K-9・155ミリ自走砲
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=99853&servcode=500§code=510
でも今回の件で輸出も厳しくなるでしょうね。
使えない兵器は人命に直結しますからね。
わが陸上自衛隊の99式自走155mmりゅう弾砲(高性能=9億6千万円)
は当然こんなことはないと思いますが・・
75式自走155mmりゅう弾砲 朝霞の観閲式の日偶然撮影しました。
以下も観閲式当日偶然とった写真です。すごい地響きと質量感でした。
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