2010/02/21 ●Odds Against
お年なので覚悟はしていたが、実際にもう読めないとなると残念至極。
「利腕」までは文庫、それ以降ハードカバーで読み継ぎはや20年以上、
新作は決まって年末に店頭に並ぶので、年末のお楽しみでした。
「競馬シリーズ」「競馬ミステリ」と言われていますが、
舞台が英国競馬界になっているだけでテーマは孤独な男の戦いです。
ストイックな主人公が辛抱強く自分に降りかかる危機に立ち向かっていきます。
主人公は、会計士、運送業者、スパイ、アマチュア騎手、パイロット、画商・・・さまざま。
物語は、冷戦、汚職、密輸、コンピュータウィルスなど
その時代のトピックを織り交ぜながら展開します。
その中で一番好きなのは↓
「Odds Against 大穴」
主人公は、元チャンピオンジョッキーのシッド・ハレー。
冒頭の一節
射たれる日まではあまり気に入った仕事ではなかった。その仕事も自分の一命とともに危うく失うところであった。しかし、38口径の一片の鉛は私の腸を穴だらけにしたばかりでなく、傷の痛みのほかに烈しい火のかたまりを体内に残した。さもなければ、私がザナ・マーティンに出会うこともなかったであろうし、回顧というクモの糸にがんじがらめになって、自分はもとより、誰にとっても無益な存在で終わったいたにちがいない。
私にとって気力と勇気を与えてくれる一冊です。
翻訳は 菊池光さん
パーカーやGライアル、クレイグトーマス、ジャックヒギンズの翻訳でも有名です。
カバーデザインは辰巳四郎さん
フランシスの作品(文庫)では複数写真のかっこいいコラージュですが
↑なイラストも有名です。
椎名林檎のおじさんということは最近知りました。
菊池光、辰巳四郎 お二人ともフランシスより先にお亡くなりになっています。
ディックフランシスの最新作は
「拮抗 Even Money」
早速買いに走りました・・が 置いている書店が少なくて困りました。
いつになってもハヤカワ、創元推理は日蔭者です。
ともあれディックフランシスに哀悼の意を表すとともに
日本で出版に関わっていただいた方々に感謝です。
ありがとうございました。
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