2009/07/13 ●56族共和
ウルムチ(烏魯木斉)での出来事が世界中で波紋を呼んでいますが、正確な情報が遮断や捏造されるかの国のことなので、なんともコメントしづらいものがありますが、ちょっと気になったことをひとつ。
民族名を呼ぶのに、中国ではウイグル族、チベット族、朝鮮族と族をつけますね。現代日本では中国人、ウイグル人、チベット人、朝鮮人と人をつけて人種名を呼びます。○○族という響きは暴走族、モヒカン族、竹の子族、太陽族(だんだん古くなる)と人種とは別に趣味嗜好の集団というか、カルト的な意味で使われたり、ニューギニアやアマゾンの未開な集団などあまりいいイメージはありませんね。
思い出すのは「五族共和」
かの昔、満州国のスローガンは「五族共和の王道楽土」でした。
この五族とは蒙(モンゴル)漢(漢民族・満州族)日(日本)朝(朝鮮)を指し、西洋の覇道に対し、満州国皇帝を中心に東洋の王道で理想国家を目指すものでした。
さかのぼること孫文の中華民国でも五族共和は成立時のスローガンで
この五族とは漢族、満州族、蒙古族、回(ウイグル族などのイスラム系)およびチベット族を指しました。
この両方の国の国旗は↓、族で色分けです。わかりやすいですね。
満州国の国旗
中華民国(1912年から1928年までの国旗)
つまり、五族の頂点には満州国では日本人、中華民国では漢民族が立ち、平和な国をつくろうよ。
ということですね。支配領域に住んでいる人種(族)間の関係が良ければこんなスローガンは不要なはずなので、当時からよっぽど問題があったんでしょう。
現在の中華人民共和国では漢民族以外は55の少数民族に細分化して規定しています。
以下少数民族のリスト(Wikiより)
アチャン族(阿昌族)
イー族(彝族)
ウイグル族(維吾爾族)
ウズベク族(烏孜別克族)
エヴェンキ族(鄂温克族、オウンク族)
オロチョン族(鄂倫春族)
回族(ホイ族、フイ族)
カザフ族(哈薩克族、ハザク族)
キルギス族(柯尔克孜族、クルグズ族)
高山族
コーラオ族(仡佬族)
サラ族(撒拉族)
ジーヌオ族(基诺族)
シェ族(畲族)
シボ族(錫伯族、シベ族)
ジン族(京族、越族、ベトナム族)
スイ族(水族)
タジク族(塔吉克族)
タタール族(塔塔尔族)
タイ族(傣族、ダイ族)
ダウール族(達斡尔族)
チベット族(蔵族)
チャン族(羌族)
朝鮮族
チワン族(壮族)
チンプオ族(景頗族)
トゥ族(土族)
トゥチャ族(土家族)
ドアン族(德昂族、旧称パラウン族)
トーロン族(独龍族)
トンシャン族(東郷族)
トン族(侗族)
ナシ族(納西族)
ヌー族(怒族)
ハニ族(哈尼族)
バオアン族(保安族)
プーラン族(布朗族)
プイ族(布依族)
プミ族(普米族)
ペー族 (白族)
ホジェン族(赫哲族、ホーチォ族)
マオナン族(毛南族)
満州族
ミャオ族(苗族)
ムーラオ族(仫佬族)
メンパ族(門巴族)
モンゴル族(蒙古族)
ヤオ族(瑶族)
ユグル族(裕固族)
ラフ族(拉祜族)
リー族(黎族)
リス族(傈僳族)
ローバ族(珞巴族)
オロス族(俄羅斯族)
ワ族(佤族)
ふう・・
人民を構成する諸集団が、どの「民族」に帰属するかを法的に確定させる、民族識別工作というそうです。これらの少数民族には、各自の言語、文化を維持する権利が保証されているそうですが、今回の新疆ウイグル自治区のトップは漢民族らしいので「・・・?」ですね。
(余談ですが、北朝鮮では族ではなく「出身成分」というのがあり金親子への忠誠度で家系を51個に分類し差別しています。)
遅れた少数民族を中華の中心である漢民族が指導するということのようです。これだけ少数民族がいるとまとめることは困難なことは自明。ローマ帝国から始まり、大英帝国式の「分割して統治せよ」を思い出すのは私だけでしょうか?
中国は太古の昔から自分たちが世界の中心に咲いた唯一の華=中華といい、周辺の民族の名前に獣へんや蔑む漢字をあててきました。匈奴、鮮卑、東胡、西戎、韃靼、南蛮、北狄・・・
その野蛮人が中華に恭順の意を示し、贈り物をもってくれば、族長の位を与えて倍以上の品物を持って帰らす。これを「華夷秩序」といい清朝が倒れるまで続きました。
マルクスレーニン主義~毛沢東思想~自力更生~改革開放~資本主義(拝金主義)~とスローガンは変わっても中身は変わったのかしら・・・?
なにせ、良くも悪くも
中国4000年。奪って、つくって、腐って、弱って、外部にやられての繰り返し・・。
歴史は繰り返すのか。
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